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巨大四脚MTが斜線を得ようと動き出すがネクストよりは遅い。たとえQBが搭載されていたとしても大質量故の鈍さは補いきれない。勝機を掴む鍵はおそらくネクストの機動性だが、人工島を支える柱が林立するこの空間でどれほど優位性があるだろうか。
しかしミヒャエルは瞬時に悩みを脳裏から消し去る。
怒り、悲しみ、ためらい……そういったマイナス感情はAMSに影響を及ぼし、ネクスト全体の精度を下げる。統合制御体は今まで採られたデータから補正を掛けるが、極端に強い感情は時にその補正値を上回るのだ。感情に溺れず、戦況の現実を受け入れるのもリンクスとしての才能の一つだ。それはある意味“覚悟”と言っていいだろう。
ミヒャエルはレーザーライフルを選択、QBで柱の陰から出て一瞬だけ射線を確保、ロックオンする。巨大四脚MTはまだPAを展開していない。
「なめやがって」
舌を噛みそうな高機動の中でもミヒャエルは独り言を吐く。トリガーを引く意志をAMSに伝えるとライフルの発信器が共振し、レーザーが発射される。誘導放出された閃光は巨大四脚MTの前面装甲を焼くが、ダメージは大して与えられないようだ。
(耐レーザー加工でもしてあるのか?)
PAのレーザー減退力が低いことを考慮すれば、防御力向上に耐レーザーの表面加工を施すのは自明の理だろう。
カノンフォーゲルは即座に柱の陰に隠れるが、ロックされていたらしく、柱を迂回して左右からミサイルが来る。ミヒャエルはミサイルが直線軌道をとった瞬間を見切って、QBで直撃を避け、即座に反撃のレーザーを発射する。
(ちまちまとでもダメージを与えていくしかない、か)
レーザーは命中、再び柱の陰に隠れる。だがミヒャエルの攻略法をあざ笑うかのように巨大四脚MTはミサイルを連射した。支柱に命中したミサイルは頑強な構造支柱を半壊させ、その衝撃波はシートの衝撃吸収材を超えて、ミヒャエルの身体全体を波打たせる。支柱が折れて、遮蔽物の役目を果たさなくなるのも時間の問題だろう。
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