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 薄暗いフロアの中、一〇メートル級の人型兵器が二機、対峙していた。
 その人型兵器の名はアーマード・コア。
 うち一機はレイヴン上がりのリンクス、ミヒャエルが駆るローゼンタール製のネクスト“カノンフォーゲル”。彼の故郷の英雄が駆った“大砲鳥”から名をいただいている。
 もう一機はリンクスナンバーもネクスト名も不明な、純白のレイレナード系ネクストだ。
 ネクストは従来のACを全ての面で遥かに上回る、新世代のアーマード・コアである。
 時速千キロで疾走し、最新鋭のジェット戦闘機よりも機敏に空を飛翔する。そして攻撃を無効化する粒子装甲(プライマルアーマー・PA)を身に纏い、全ての既存兵器を文字通りなぎ倒す。
 最先端科学が産んだ奇跡のマン・アンド・マシン、それがネクストだ。ネクストは特殊な才能を持った存在“リンクス”によってのみ操縦されるため、数が限られていた。
 かつて世界は資源の枯渇と人口増加、地球温暖化による環境悪化のため、内乱とテロと暴動にまみれていた。その暴力と混沌は地球をモザイク画のように統治していた百数十の国家政府から確実に統治能力を奪っていった。
 世界経済の大崩壊が現実のものになろうとした時、軍産企業連合体“パックス”は自ら世界を統治することを決めた。
 そうしてパックスが起こした武装蜂起を今は“国家解体戦争”と呼んでいる。軍事力によって国家を解体し、恐怖支配を現実のものとしたのは僅か三十機余りのネクストとその実験機達だった。それから五年、ネクストの力は世界を支配し続け、その圧倒的な戦闘力をパックスだけが独占している。
 しかしパックスは元来一枚板ではなかった。大きく分けて六つの企業連合体は、世界支配後、二つの陣営を形成しつつある。
 中でもミヒャエルが所属するローゼンタールは、現在、対峙している白いネクストの製造元であるレイレナードとは対立関係にあった。
 今回の任務は放棄された海上空港を占拠したテロ組織の排除だったが、そこは既にレイレナードの部隊がテロ組織を排除し終え、そのまま秘密裏に占拠を続けていた。何か理由があるに違いないが、ミヒャエルは迎撃を受けて反撃し、戦闘が開始された。相手がレイレナードであろうとその事実は変わらない。その結果としてネクスト同士が戦うことになった。
 十数年前にAC同士の戦闘が初めて行われた時は世界中の注目を集め、各種メディアで報じられた。

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